Noriko Shimosaka
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フラワーデザインに拘り過ぎた末路は、自然美を壊す Blog

左上の写真は、クリスマスガーランドとして大ヒットした商品。
ここで使用した、キイチゴの紅葉した葉っぱ。
市場から仕入れた切り枝なんですが
紅葉した葉が全て落ちた後、ずっとお水をあげ続けていたら
先日、花を咲かせてくれました!
冬の季節にそんなことが起こるなんて、驚きでした。

キイチゴの花を初めて見て、こんな可憐で真っ白な花なんだ〜と
その美しさに見惚れる毎日です。


先日、フラワースクールに、将来花の仕事で独立を考えていらっしゃる方が
花のスキルを身に付けるために、レッスンへ来られました。
色々とお話を伺うと、現在はサラリーマンだけどデザインに興味があって
造形のデザイン学校に夜間で通いながら、お花のスキルも身に付け
お花を使ったデザインサービスを提供出来るようになりたいと。

フラワーデザインについて、いつも私が思うこと。
本来の植物の美しさを壊してはいけないということ。

デザインにこだわり、作り込めばこむほど、拘れば拘るほど
植物の美しさが消える。
植物をツールとして利用するのではなく、生かすデザインをしなければ。

デザインのために、花びらをむしって花を小さくしたり、
葉っぱを切り刻んだり、葉が生い茂っている枝を裸枝にしたり
立体的造形の植物を一定の形の中に押し込めたり。

フラワーデザインにこだわった末路として、
このように植物の本来の形を無くして、違うものへと変えていく手法になると
もう生花じゃなくてもいいのでは?と思う。
フラワーデザインは、植物が持つ自然美や表情、佇まいを生かしてこそ、
初めてフラワーデザインとして成立するのではないかと思う。
永遠の課題。

今回、クリスマスガーランドを制作する際に使用したキイチゴ。
ドライになっても色褪せない紅葉カラーとその造形を生かしたつもりで。

でも、紅葉の葉を全て落としたキイチゴの枝から、緑の葉が芽吹き、花を咲かせたその姿を見て、そこに手を加えて活ける気力はなかったです。
本来の造形にはやはり敵わない。改めてそう思いました。
この美しさを、人の手によって作り出すことは不可能だと。

どんな知識やスキルを持っても、自然の姿を越えるデザインは無い。
追いつくことも、越えることも出来ないことが分かっていても
植物と向き合い、自分と向き合い、表現することはこの上なく楽しい作業だ。

敵わない目標があるからこそ、楽しめる。
大自然に触れる機会や環境があるからこそ、少しでも近づくデザインをしたいと
思う楽しみが生まれる。

そして、一番大事なことは、限りある自然の一部をいただいて仕事をしているということ。だから少しでも植物の本来の美を表現して伝えて行きたい。

それがフラワーデザインの原動力。
私の場合。